提言・要望 等
平成 25 年 7 月 3 日
日本商工会議所 税制専門委員会
委員長 井 上 裕 之 殿
日本商工会議所青年部
会長 阿部 賀寿男
「税制改正」に関する提言
日本経済は、長引くデフレ、超円高、原発問題、進まない震災復興など、未曽有の難題に直面してきたが、政権交代後、政府の強いリーダシップのもと、円高の改善、投資意欲の改善など、「アベノミクス」による変化の兆しが見え始めている。
しかしながら、国民全体では依然として閉塞感は拭いきれておらず、アベノミクス効果を実体経済の成長へとつなげ、豊かで活気のある社会を構築するためには、内需の活性化や海外市場を積極的に取り込むための国内基盤を整えていく必要がある。
そこで、我々日本YEGでは、強い日本再生の基盤となる中小企業の輝ける未来を創るために、下記のとおり提言する。
記
1. マイナンバー制度の実現に伴う国民皆確定申告制度の実現
わが国の所得税は、所得者自身がその年の所得金額から納税額を計算し、自主的に申告し納付する「申告納税制度」が建前となっている。しかし、実際は、源泉徴収制度の下で、企業に源泉徴収義務を負わせ、年末調整などを含め、多くの納税事務を企業に依存しているのが現状である。
また、インターネットを使った外国為替証拠金取引(FX)、株式投資やオークション等が活発化しているが、そうした収入に係る申告は個人にゆだねられており、潜在的な税収漏れが発生していると考えられる。
マイナンバー制度の実現により、将来的に、個人の所得捕捉精度が高まり、高度な税務情報システムが構築され、申告関連の事務負担の低減化が可能となれば、年末調整の廃止による企業負担の軽減や給与所得者の必要経費とされる給与所得控除の見直しを行い、全ての所得のある全ての国民は確定申告を行う仕組みを実現すべきである。
2. 消費税率は単一税率とすべき
現在、インボイス制度を前提とした消費税複数税率化が議論されているが、企業負担の増加、複数税率の対象品目の不明瞭・曖昧さによる悪影響など潜在的な負担や弊害が多く存在するものであることから、消費税は単一税率とすべきである。また、生活保護者などへの逆進性対策は、マイナンバー制度の実現によるきめ細かな還付や控除で対応すべきである。
3. M&A促進税制の創設
中小企業の廃業は、単に企業数の減少を意味するばかりではなく、雇用や技術の喪失にも波及することから、国として早急に対処すべき問題である。
そこで、近年増加しつつある中小企業のM&Aを積極的に後押しするため、事業の売り手、買い手それぞれに大幅な優遇税制を与える税制を創設すべきである。
<優遇税制のイメージ>
・ 事業の売り手:事業の譲渡所得に対する優遇税率の設定等
・ 事業の買い手:資産や営業権に係る即時償却や税額控除、繰越欠損金の引き継ぎ要件の大幅緩和等
4. デフレ脱却に向けた法人税の引き下げ
消費税引上げによる中小企業経営への影響を最小限に止めるとともに、政府のアベノミクス政策を実体経済へ確実に反映させるため、中小法人の軽減税率の引き下げ・適用所得の拡大、法人実効税率の引き下げを検討すべきである。
以上