平成27年度日本YEG提言
平成28年2月
日本商工会議所
会頭 三村 明夫 様
日本商工会議所青年部
会長 伴 靖
地方創生に向けた「地域の繋がりから生まれる活力に満ち溢れた社会」に関する提言(概要)
Ⅰ.地方人口の減少緩和に繋がる施策導入
【提言1 地方への若年層の回帰、育児環境整】
Ⅱ.中小企業の新陳代謝を高める政策の拡充
【提言2 中小企業の発展が創る地域再生への】
提言にあたり
本提言は春の会長会議において「地域の経済を活性化するための地方創生」「地域の雇用を確保するための事業承継」のテーマで行われた日本全国409単会の会長の議論をふまえて作成したものである。提言の視点としては、本年度のスローガンである『YEG EMBLEM 繋がりを我が力に変えて!更なる「連帯の証」を求めよう!』のもと、地域の中小企業の最前線で働き、家庭においては子育て世代としてYEGメンバーが共有する課題について、「繋がり」を「力」に変えるYEGならではの視点で提言するものである。
基本的な考え方
現在、わが国は「人口の減少」と「地方の疲弊」という2つの構造的な問題に直面しており、「人口減少対策」と「地方活性化」は同一と考え取り組む施策が必要である。
「人口減少」において、社会・経済の重要な担い手となる生産年齢人口が減少している。また人口の多い都市部への人口集中が加速している。これにより地域の働き手、消費者、地域コミュニティのリーダーが減少している。これが地域経済を衰退させる一因であると考える。地方への若年層の回帰を推進することは喫緊の課題であり、地元企業の就職支援の強化や大学の地方移転を推進する必要がある。地域を発展させたいと考える企業と、地域での独自性を高める大学、地域を支える行政がつながるネットワークを構築することで、若年層のパワーを活かした地方創生ができる。
また、出生率の向上のためには、非婚化・晩婚化の流れを変え、若い時期に結婚しても女性が活躍できる社会環境を整備する必要がある。子育て世代における家事・育児・親の介護の負担は大きいものがあり、これら 3 分野それぞれに均等な支援を行うことで負担を減少させていくことが必要である。
「日本再出発」の原動力となるのは「中小企業の発展」と「地域の再生」であり、中小企業活性化へ向けた新陳代謝を高める施策への取り組みが地域の再生へと繋がる。特に地域資源や高い技術力を持った中小企業は、海外進出によるグローバル展開、経営革新により競争性や利益率の高いビジネスを生み出す可能性を秘めている。創業時の支援拡充だけでなく、事業承継、第二創業、廃業や倒産などにも支援拡充することで、中小企業の新陳代謝を高め、地域経済の中核として地域活性化を推進する必要がある。
以上の認識に立ち、日本商工会議所青年部は、青年部の強みである「若さ・情熱・広い視野(Youth,Energy,Generalist)」を活かした「人口減少対策」と「中小企業の発展による地域再生」の施策から、新たな日本再出発の礎を築くものになると確信している。
1.地方人口の減少緩和に繋がる施策導入
提言1.地方への若年層の回帰、育児環境整備と女性活躍による地域づくり
【提言内容】
○ ①大学と地域企業、行政を繋げる研究開発や事業による地域の雇用増加。更に都市圏に集中する大学の地方移転で若年層の地方回帰を推進。
○ ②女性が活躍しやすい環境へ向け、多様な保育ニーズに対応した制度設計の推進。
【理由】
①大学と地域企業、行政を繋げる研究開発や事業により地域の雇用増加。更に都市圏に集中する大学の地方移転で若年層の地方回帰を推進する。
地方の人口流出の一つに進学・就職によるものがある。地元企業との強いパイプにより地元への就職、雇用にもつなげていくために、地元企業と大学の共同研究や事業による製品開発により大学での勉強が実践的になる。この様な魅力ある地方企業の情報発信を積極的に行うことで、地方の独自性を高めることができ、、地元愛を育むことができる。
このように地域を発展させたいと考える企業と、地域での独自性を高める大学、地域を支える行政がつながるネットワークを構築することで、若年層のパワーを活かした地方創生ができる。
また、地元企業への就職支援の強化や企業の工場誘致だけでなく、大学自体の地方誘致を推進し、若年層の地方回帰を進めることで地域経済やコミュニティを強化する必要がある。
②女性が活躍しやすい環境へ向け、多様な保育ニーズに対応した制度設計の推進。
出生率の向上のためには、非婚化・晩婚化の流れを変え、若い時期に結婚しても女性が活躍できる社会環境を整備する必要がある。子育て世代における家事・育児・親の介護の負担は大きいものがあり、これら 3 分野それぞれに均等な支援を行うことで負担を減少させていくことが必要である。
特に大企業における社内託児所のような充実した保育制度が保持できない中小企業においては、子育て世代が働きやすい環境をつくるため、多様化した保育ニーズへ対応する必要がある。質・量ともに必要な保育ニーズを満たすために更なる支援や制度設計が必要である。
2.中小企業の新陳代謝を高める政策の拡充
提言2.中小企業の発展が創る地域再生への礎
【提言内容】
○ ①中小企業の海外進出や経営革新などが容易にできるよう、中小企業庁の機能強化。工会議所の経営支援拡充。
○ ②事業承継や第二創業、廃業、倒産などへのコンシェルジュの設置やマニュアル整備。
【理由】
①中小企業の海外進出や経営革新などが容易にできるよう、中小企業庁の機能強化。商工会議所の経営支援拡充。
地域資源や高い技術力を持った中小企業は、海外進出によるグローバル展開、経営革新により競争性や利益率の高いビジネスを生み出す可能性を秘めている。
これらの企業活動を迅速、容易にするために中小企業庁の機能強化や、これまでも行われてきた商工会議所への経営指導のスペシャリスト配置や、取引先や営業のマッチングなどの、更なる支援拡充が必要である。
②事業承継や第二創業、廃業、倒産などへのコンシェルジュの設置やマニュアル整備。
地域経済の中核となる中小企業は、新規創業だけでなく、次世代へ繋げる事業承継や、第二創業、廃業、倒産、再チャレンジと数多くの選択肢が出てくる。創業時の支援拡充は制度として比較的充実しているものの、事業承継、第二創業、廃業や倒産などに対する支援は充実しているとは言いがたい。
そのため、廃業ソムリエやコンシェルジュの設置やマニュアルの整備など、起業だけでなく事業承継や再チャレンジの方法もあるという選択肢を増やしていく必要があり、雇用の維持・確保、あるいは雇用創出を行うことを前提とした支援拡充を行うことで中小企業の新陳代謝を高め、地域活性化を推進する。
以上