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提言・要望 等

平成 24 年7月4日

日本商工会議所 税制専門委員会
委員長 井 上 裕 之 殿

日本商工会議所青年部
会長 尾山 謙二郎

「税制改正」に関する提言

日本経済は、長引くデフレ、超円高、原発問題、進まない震災復興など、未曽有の難題に直面しており、こうした難局を乗り切るためには、政府・地方自治体はもとより、中小企業・国民一人ひとりに至るまで、オールジャパンで挑まなければ、これらの課題に対する活路は見いだせない。
 そこで、我々日本YEGでは、国民一人ひとりが如何に社会に貢献できるのか自覚するための意識改革を促し、公平・中立・簡素な税制の観点から、地域経済・中小企業の活力強化に資する税制の実現のため、下記のとおり提言する。
1.租税教育の徹底による国民意識の改革
 憲法で規定する国民の義務(教育の義務、勤労の義務、納税の義務)を踏まえ、納税者として社会への参画意識を醸成するため、次のように、義務教育から社会人に至るまで、租税教育の徹底を図ることが重要である。

(1)義務教育において租税教育を必修とする。その際、職業観・勤労観を育み、より納税者の視点でのカリキュラム・教材を体系的に整備し、教育現場からの国民の意識改革を促す。
*カリキュラム・教材:例えば、企業経営者による講演や企業経営を体験できる教材(ゲームメーカ ー等とのタイアップによる、遊び感覚で勉強できる教材)の開発等
(2)教職員の租税知識のレベル向上を図るため、教職課程において、租税分野の履修を必須とする。
(3)国税庁、法人会等の関係機関が連携し、企業経営者・一般社会人の納税者意識向上を図るための研修会を定期的に実施する。

2.源泉徴収制度の見直しによる納税者意識の醸成と中小企業の納税事務の負担軽減
源泉徴収制度は、本来は税務署が行うべき徴税事務を企業が肩代わりすることで、国が確実に税を徴収し、また給与所得者にとっても確定申告の作業から免れること等から便利な制度である。一方で、企業の納税事務に係る負担は重く、また給与所得者の納税意識が希薄となる等の問題点が指摘されている。
 そこで、自らの納税額を計算することで納税者意識が高まり、また経理事務に人員を割くことが難しい中小企業の負担軽減にも寄与する観点から、源泉徴収制度については、年末調整を廃止し、給与所得者全員が確定申告を行う制度へ移行すべきである。給与所得者確定申告制への移行にあたり、次の点について検討する必要がある。

(1)マイナンバー制度の早期実現と電子申告の一層の普及による申告手続きの簡素化および徴税業務の効率化を実現する。
*マイナンバー制度の導入にあわせ、記入済み申告書制度(税務当局があらかじめ把握している控除等のデータを記載した申告書を納税者に提示。納税者は記載内容をチェックしたうえで申告)を検討する。
(2)自身で確定申告ができない者を支援するため、コールセンターの拡充や、確定申告事務を代行する新たな資格制度(「税理士2級」(仮称))を創設する。
*「税理士2級」(仮称)は既存の資格保有者(フィナンシャルプランニング技能士など)に付与することで、一定の資格保有者数を確保する。また、税制に関する情報発信する人材をより多く社会に提供することができる。

3.給与所得控除の見直しによる不平等の是正
 現行の給与所得控除は、給与所得者の経費として、給与収入額が1500万円までは収入に比例して一律に控除額が増加する仕組みであるが、必要経費は個々人の業種・業態によって異なることから、収入の増額分がその職務に必要な経費の増額につながるような仕組みは、不平等と言える。
 そこで、給与所得者の納税意識を高める観点からも、給与所得控除額を段階的に引き下げ、必要な経費は自らが控除する制度へ移行するとともに、特定支出控除制度の見直しを行い、必要経費にできる支出項目の適用範囲を検討する必要がある。

4.地域経済の活性化に資する柔軟な固定資産税制の実現
地方自治体が中心市街地活性化計画等により、戦略的に活性化を図りたいエリアを定めた場合、そのエリアの土地や建物の権利移転を効果的に進めるため、地域の実情に沿って柔軟に固定資産税率等を変更できるように、地方自治体の裁量拡大を図るべきである。
 例えば、商店街の空き店舗対策として、商店として営業していない店舗には高い固定資産税率を課す(逆に営業している店舗には優遇税率を設定する)ことで、空き店舗を保有するメリットを低減させ、商店街の土地や建物の権利移転を促進させる効果が期待できる。このように企業が付加価値を生み出す動機付けに着目した税率や課税標準を設定できるような柔軟な固定資産税制を導入すべきである。
 また、固定資産税は地方自治体の収入の柱であることから、優遇税率の設定等による自治体の減収分は国が補てんする等の支援措置も検討すべきである。

以上

桃太郎一派
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