提言活動
提言書(平成19年度~平成24年度)
平成24年度
平成25年3月
①日本国憲法第96条改正に関する提言
日本商工会議所
会頭:岡村 正 殿
日本商工会議所青年部
会長:尾山 謙二郎
憲法改正要件の緩和
憲法改正に対し柔軟性を持たせるために、憲法第96条の条件について、早急に改正要件を緩和することを提言します。
全国のYEG会長会議での議論
春と秋に全国各地で行われた日本YEG会長会議の中で、「主権と安全保障」に対する多くの議論がなされました。全国のどの地域でも一番のキーワードになったのは憲法改正でありました。国会や各種報道を見ても、憲法改正に関する議論は多くなされ、その関心の深さに注目するところであります。
世界情勢や国内政治、経済及び社会の現況が大きく変化する中で、国のあり方を示す憲法が、昭和22年の施行以来、一度も改正されたことがないことに疑問を持つことは当然のことと言えますが、全国各地で地域経済を支える企業人としても、主権者たる国民の一員としても、責任を持って対処していく重要な課題であります。
憲法改正の意義
現在、国会や報道等において、中国、ロシア、韓国等との領土を巡る軋轢や、北朝鮮における核の脅威等への対応として、専守防衛の自衛隊しか保有しない日本の取るべき方向性について議論がなされております。例えば、集団的自衛権の基礎となる紛争の抑止力につながる日米同盟の強化とともに、「国防軍」に関する議論も国会等において活発化しております。そうした議論の先にあるのは憲法改正であり、その是非について国民的議論が大変重要となります。そうした議論の結果、国民の総意としての憲法改正もあり得るべきであります。
しかし、現憲法下での改憲手続きは困難を極め、国民的議論が必要な多くの問題でさえ、国会において一度も討議される事なく、ましてや国民投票へ発議されることもない制度となっています。従って、憲法改正が国民的レベルで討議されるための改正要件緩和が必要であると考えます。
国民投票までの厚い壁
現行憲法の96条では、「この憲法の改正は、各議員の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」としています。
この条文により、憲法改正の発議のためには衆参両議院のそれぞれ「総議員の3分の2」の賛成が必要であるとされているため、憲法改正の是非判断は、主権者国民の判断に委ねるとしていながら、改正発議の要件が厳しすぎて、国民投票にたどり着くことができないのが現状です。
国民的議論の醸成に向けて憲法改正要件の緩和を
国家、国民の根幹を成す憲法の改正あるいは自主制定について、主権者たる国民自身が強い関心を持ち、真剣に議論する機運を醸成するためにも、憲法改正の発議要件を「総議員の過半数」に緩和し、さらに国民投票法の施行に伴い、国民承認の要件には「有効投票の過半数」に変更し、憲法改正に対し柔軟性を持たせる事を提言します。
各種団体や政府においても、以前から憲法改正の要件緩和に対する議論がなされておりますが、未だその実現には至っておりません。議論を先延ばしすることなく、早急な対応を望みます。
以上