提言活動
提言書(平成19年度~平成24年度)
- 平成19年度
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平成19年度日本YEG提言書[137KB] - 平成20年度
- 平成21年度
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平成21年度日本YEG提言書[183KB] - 平成22年度
- 平成23年度
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平成23年度日本YEG提言書[413KB] - 平成24年度
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平成24年度日本YEG提言書[181KB]
平成23年度
平成24年02月18日
③平成23年度日本YEG提言書
日本商工会議所
会頭:岡村 正 殿
日本商工会議所青年部
会長:兵頭 弘章
平成23年度日本YEG 提言
~復興を経て、持続可能な笑顔あふれる次世代をつくるために~
東日本大震災による、地震・津波・原発事故・風評等々に起因する未曽有の被害が未だ終息せず、 先が見通せない状況が続いています。
そして今、持続可能な社会構築の為、政府は「2010年代半ばまでに消費税を段階的に10%まで引き上げる」としています。
経営者の視点から、震災復興とその先の笑顔あふれる日本のため、実効性のあると思われる分野について中長期的な視点から提言します。
【1】震災復興と中長期的に持続可能な政府の在り方に関する提言
1.震災復興に関する提言
(1)震災復興国債発行による100兆円規模の震災対策の実施を
未曾有の大災害である東日本大震災からの復興に向け、思い切った財政資金の投入を行い、日本再生の機会とするため、100兆円規模の震災復興国債発行による復興対策を提言します。
政府は、今回の大震災における直接被害額を17兆円弱と試算しており、その復興財源を復興債の発行や予算の組み替え、所得税の増税などにより賄おうと検討しています。
しかし、阪神大震災の総復興事業費はおよそ16兆円とされており、今回の大震災の被災規模や、 原発事故への対応を踏まえれば、政府試算をはるかに上回る規模の財政投入が必要となります。それに加え、原子力依存のエネルギー・インフラの再構築など勘案し、5 年間で最低100兆円規模(別添1)の復興費用の準備が必要です。
財源確保の為には、我が国の税収がおよそ40兆円であることから、増税や予算の組み替えでは、 100兆円規模の財源は到底賄えません。しかし増税を行なえば、個人消費の低迷や企業の業績悪 化により景気悪化を引き起こしかねず、ひいては税収の減少による財政悪化を招く可能性が高いと 思われます。
一方、我が国の国家予算およそ90兆円のうち毎年40兆円超が国債で賄われ、国・地方を合わ せた国債発行残高は平成23年3月末現在924兆円を超え、財政悪化への懸念から、新たな国債の発行には慎重な声も多くあります。しかし、国債発行については現状においても物価がデフレ基調で推移していることから、100兆円規模の国債を発行しても、急激なインフレの可能性は低いといえます。日本政府が保有する外貨準備が約1.3兆ドル(別添2)あり、その信用を裏付けに更なる国債を発行するゆとりもあることから、政府が速やかに確かな復興計画を示すことにより、国際金融市場における信頼を維持することは十分に可能です。
実際、阪神大震災においては、国債発行などによる財政出動の結果、実質経済成長率は上昇、僅か2年間で21兆円もの経済規模の拡大につながったとされています。当時の我が国経済には今よりも体力がありましたが、その状況でも当時の政権は復興費用として増税ではなく国債を選んでいます。しかし、平成9年4月、消費税増税などに舵を切った後、わが国が本格的にデフレに陥り、増税したにもかかわらずそれ以降税収が平成9年を上回っていません。物価の下落幅以上に名目個人所得額が減少する日本型デフレが慢性化するなか、大胆な財政支出を経済規模の拡大の呼び水にし、日本再生へつなげるよう求めます。
未曾有の大災害である東日本大震災からの復興に向け、思い切った財政資金の投入を行い、日本再生の機会とするため、100兆円規模の震災復興国債発行による復興対策を提言します。
被災者支援 現行 改正案 対象車両 東日本大震災にかかる被災証明書、罹災証明書を有している者が乗車する車両で全車種 全ての車両 料金 無料 上限1,000円 (2)道州制の導入により徹底的な地方分権の推進を
復興庁を引き継ぐ「(仮称)東北州」の成果を踏まえ、全国においての道州制を展開していくこ とを提言します。
東日本大震災からの復興を目的とする「復興庁」の設置法案が成立しました。法案に盛り込まれた復興庁では、ある程度の権限と予算を握ることが出来、地域事情に即した形の復興計画の立案と実施がされようとしていることは、従来の省庁縦割り方式に比較すればより良い形と言えます。しかしながら、地域主権の確立のために国と地方の役割分担のあり方がさらに真剣に検討されている現在において、必ずしも最良の形とは言えません。そこで、復興庁が機能し、創設目的に対して一定の成果が出た後には、「(仮称)東北州」を創設し、復興庁の機能に加え、各省の出先機関が持つ権限と財源を完全に委譲し、真の地域主権の実現の契機とすることを提言いたします。
そして一定期間経過後、「(仮称)東北州」の成果を踏まえ、全国において道州制を展開していくことを提言します。
(3)ビジットジャパン事業の再構築と推進強化により「訪れたい日本」を積極発信
【2】被災者への自動車再取得処置
交通インフラの整っていない地方では、マイカーが重要な市民の足となっております。しかしながら、住宅や事業所への支援策が多い中、自動車の再取得対する支援策が足りないのが現状であります。東日本大震災で被災した代替車両取得時の、ローン金利負担緩和として、利子補給制度の創設を要望します。
【3】風評被害を受けている特産物の保証マーク作成
安全な食品にもかかわらず、福島第一原発の放射線による風評被害にさらされ、市場において価格が付かない、または標準価格よりも低い価格でしか取引されておりません。国民が安心して食品を購入できるように、政府が保証するマークを作成し、食品に添付し安全であるお墨付きをいただきたく要望いたします。
【4】医療費控除枠について
1月26 日に新燃岳が噴火し、今も断続的に降る大雨の影響による土石流と土砂により、九州地方も東日本と同様に被害が生じております。これからの災害復旧に際して東日本同様に被災地支援として、復旧支援車両に対して高速道路通行料金の優遇を要望いたします。