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提言活動

提言書(平成19年度~平成24年度)

平成22年度

平成22年05月15日

①「税制改正」に関する提言

日本商工会議所 税制専門委員会
委員長:井上 裕之 殿

日本商工会議所青年部
会長:西居 基晴

「税制改正」に関する提言
<基本的な考え方>

国民が将来不安を感じないための国作り、並びに現況の中小企業の活性化のため税制面でのバックアップを行う。

中小企業税制関連

【1】「就職救済税額控除」(法人税)

  • <背景>

    H22年度、経済産業省が実施する「就職の決まっていない高校生・大学生を対象にしたインターンシップ」を助成金+減税へ移行する。

    現在、経産省が進めようとしているプログラムは、仲介業者、コーディネーター等の利権を生むことが懸念される。真に求職者のためになり、かつ、事業者(特に中小企業者)の人材確保に役立つものを目指す。

  • <提言内容>

    新規卒業の高校生・専門学校生・大学生で卒業年の2月末までに就職の決まっていない学生が自らエントリーし、予め登録した企業側とマッチングを行い、インターン期間6ヶ月の研修を実施する。この間、求職者には現行の助成金を交付するが、企業側には交付しない。

    6ヶ月後、採用に至り、インターン期間と雇用期間の合計年数が1年以上となった場合、45万円/人を税額控除する。ただし、当該事業年度で控除しきれない金額がある場合には、その金額を当該翌年事業年度から3年間において繰越控除することを認める。

  • <参考>

    現行制度のインターンシップでは、参加者に一人当たり日額7,000円、受入企業にも 3,500円支給される。半年期限なので、21日/月として、半年で1,323,000円程度の費用が掛かる。

【2】役員賞与の損金算入制度の創設(法人税)

  • <背景>

    現行の税制では、事前に届出を行えば損金算入が認められている。しかし、本来の役員賞与は、企業の事業年度の業績に応じて、原則利益が出れば支給されるものである。従って、事前に金額を確定させるのは、中小企業においては、困難である。中小企業の経営者のやる気を損なう恐れがある事を考え、以下の制度を創設することを目指す。

  • <提言内容>

    当該事業年度の税引前当期利益の金額が下記に該当する場合は、それぞれの限度額を限度として支給した役員賞与額は、損金に算入するものとする。

    • 税引前当期利益が1000万円以下の場合は、その20%
    • 税引前当期利益が1000万円を超え、2000万円以下の場合は、その10%
    • 税引前当期利益が2000万円を超え、3000万円以下の場合は、その 5%

    ただし、役員1人当たりの支給額は100万円を上限とする。

【3】中小企業に対する減価償却の耐用年数の短縮制度の創設(法人税)

  • <背景>

    現行の税制では、中小企業が設備投資等を行う場合に、その資金を直接金融ではなく間接金融(ほとんどが金融機関からの借入)でまかなっている。その設備の減価償却の耐用年数とその借入金の返済期間とにずれが生じている。これは、毎年の償却額より借入返済額が上回る結果となり、資金繰りに悪影響を及ぼすことになる。大企業と中小企業の資金力の差、そして中小企業の活性化を考え、以下の制度を創設することを目指す。

  • <提言内容>

    中小企業が固定資産等を購入した場合には、現行の耐用年数の60%の中小企業耐用年数(新設)により、減価償却を行うものとする。

国民生活税制

【1】二・三世帯減税(二世帯・三世帯同居の推進)

  • <背景>

    現在の核家族で、景気後退の最大のポイントは老後の不安である。様々な景気刺激策が実施されるが、本質的な部分の対策なくして安心はない。現状では、超高齢社会・少子社会の中で、公的な社会保障だけで老後を支えることは難しい。従って家族で支えあう環境を整えることにより世帯の経済力が増し景気回復に繋がることを目指す。

  • <提言内容>

    親子二世帯・三世帯同居を推進する政策として、住宅等減税を実施することが最も効果的であり、地域の活性化にも寄与するものであることから、次のとおり提言する。

    • 1)住宅税制について
      二・三世帯住宅の新築、既存住宅を二・三世帯用に改修・増築など行った場合に、既存の住宅借入金等特別税額控除とは別に新たな税額控除の創設、不動産取得税の大幅な減税、並びに固定資産税の大幅な減税などの総合的な減税対策を行うこと。
    • 2)所得税、住民税について
      二・三世帯同居の場合、同居親等に対する扶養控除の増額や均等割の減免を行うこと。

相続税制に関する提案

【1】相続税制に関する提案

  • <背景>

    相続税の対象となる被相続人は、全体の死亡者の約4%にすぎない。従って、残りの約96%の 対象者の資産を現役世代に、現行よりもっと贈与させ消費に回すことにより、また、金融資産の多くが、団塊世代以上の方々に偏っていることを解消することに繋がれば、景気刺激策に繋がる。

    また、全体の4%については、相続時精算課税制度とは別に、贈与税の非課税枠を拡大する事に よって上記と同じく景気刺激策に繋がる。

  • <提言内容>

    現行の相続時精算課税制度の非課税枠を2,500万円から3,500万円に時限的に拡大する。また、時限的に上記制度との選択適用で1,500万円の贈与税の非課税枠を創設する。

以上