HOME » 提言活動 » 平成21年度 » ①中小零細企業の資金繰り対策の強化・拡大について

提言活動

提言書(平成19年度~平成24年度)

平成21年度

平成21年08月29日

①中小零細企業の資金繰り対策の強化・拡大について

日本商工会議所
会頭:岡村 正 殿

日本商工会議所青年部
会長:山内 毅

緊急要望書
中小零細企業の資金繰り対策の強化・拡大について

平素は日本商工会議所青年部(以下日本YEG)の活動に対し、ご指導を賜り心より御礼申し上げます。

さて、日本経済は「過去に経験したことのない」景気後退に陥り、自動車や電気機械関連の大企業は、生産の急減や在庫圧縮、設備投資の停止、人員削減策などの措置を講じております。日本全体で雇用・設備投資の削減が一斉に進むと総需要不足が起こり、スパイラル的に悪化させる事となります。焦点となる内需拡大を地域から担う中小企業経営の防衛と活性化は緊急の課題となっています。こうした課題を踏まえ、われわれ日本YEGでは緊急に全国約400単会の会長にアンケートを実施し、地域あるいはメンバー企業の抱える資金繰り問題について返答を頂きました。

それらの意見を踏まえ、早急に対策を講じて頂きたく、緊急要望書を提出いたします。

中小企業者向けの新融資制度の創設

アメリカ経済のサブプライムローン破綻に端を発した不況によって、中小・小規模企業を取り巻く経済環境は非常に厳しい環境に陥っています。販売不振や在庫の長期化などを要因として、資金繰りについても一段と厳しいものとなっています。こうしたことを踏まえ、以下のように要望させて頂きたいと思います。

現在のマル経融資の対象事業規模は、小規模企業者(製造業その他では20人以下、商業・サービス業では従業員5人以下)です。しかし、商工会議所の会員企業の中には、小規模企業者以上の会員も多数所属しております。したがって、現在のマル経融資の対象が、この事業規模であると、商工会議所の会員企業であるにもかかわらずマル経融資を受けられない状況です。そこで、中小企業者向けの経営改善を目的とした新たな融資制度の導入を要望としてあげさせて頂きたいと思います。この要望は、地域提言委員会にて全国の単会会長様にアンケートをさせて頂いた回答の中で、緊急性の高いものであると同時に、未来志向の設備投資や、中小企業者のより健全な発展の金融策として、中小企業向けの新融資制度の創設を要望いたします。

セーフティーネット緊急保証制度の拡充

世界的な金融不安を受けて、中小零細企業の経営悪化が懸念されることから、緊急的な中小零細企業への支援策として、信用保証料補給制度が拡充されました。懸念された昨年末の「資金繰り危機」は回避されたものの、売上高、仕事量ともますます低迷を強めていることに加え、「緊急保証制度」の利用も4月以降小康状態に入り、企業に対する選別が進みつつあります。中小企業向け貸出に対する銀行の姿勢は、景気悪化でますます慎重になっており、資金調達環境はなお厳しくなることが予想されます。

  • (1)信用補完制度は、本来の信用保証理念に基づき保証料率の引き下げなど中小企業ニーズに対応した施策の強化を進めて頂きたい。
    また、問題なく返済してきた堅実な借り手(中小企業)のクレジット・ヒストリーを尊重した企業評価を柱として頂き、保証協会付融資での保証審査を評価項目として保証料率を引き下げるなど優遇措置を取って頂きたい。

  • (2)信用補完制度の責任共有制度では、当面、責任共有制度対象除外となる小口零細企業保証制度の上限、1250万円を2000万円に引き上げて頂きたい。また、金融機関リスク負担部分を地方自治体が直接損失補償するとした場合、独自の取り組みとして認めて頂きたい。
  • (3)環境貢献度合いによって利率を変更する(引き下げる)融資取り組みである環境コベナンツ契約を、政府系金融機関・信用保証制度の融資・保証にも導入して頂きたい。
  • (4)㈱日本政策金融公庫は、一般融資も含む中小企業への公的機能の充実、サービス水準の維持に努めて頂きたい。特に、セーフティーネット貸付は融資条件を緩和し、中小企業の実態を踏まえた融資を行って頂きたい。また、商工中金は、金融のセーフティーネットとして果たしてきた公的機能の断続性を考慮した役割を引き続き発揮して頂きたい。そして金融庁は、民間金融機関が貸出条件の緩和を行っても不良債権には該当しない取り扱いの拡充などの「金融検査マニュアル」改定を中小企業と金融機関に周知徹底し、貸出先中小企業の再建と追加融資に活用するようにして頂きたい。

以上