HOME » 提言活動 » 平成19年度 » ②地方幹線道路等の早期整備に関する提言

提言活動

提言書(平成19年度~平成24年度)

平成19年度

平成19年12月08日

②地方幹線道路等の早期整備に関する提言

日本商工会議所
会頭:岡村 正 殿

日本商工会議所青年部
会長:原田 隆司

「地方幹線道路等の早期整備に関する提言」

道路特定財源問題に関しては、政府・与党が昨年(平成18年12月)にまとめた「道路特定財源の見直しに関する具体策」において、「真に必要な道路整備は計画的に進めることとし、平成19年中に今後の道路整備の姿を示した中期的な計画を作成する」とする一方で、「現行の税率水準を維持する」ことおよび「一般財源化を前提」として、「毎年度の予算で道路整備に充てることを義務づけている現在の仕組みはこれを改める」、「毎年度の予算において、道路歳出を上回る税収は一般財源とする」ことなどが示されておりました。

道路は、社会、経済、生活を支える基本的なインフラであり、全国の交通ネットワークの整備は、物流、移動の効率化を進め、わが国の産業、経済の安定・発展ならびに災害緊急時への対応等に大きく貢献するものであります。地方においては、幹線道路網が地域の安定および振興に不可欠であるばかりでなく、災害時の救援あるいは医療施設へのアクセスとして住民の生命に直結する場合もあります。都市圏においては慢性的な渋滞解消等のための環状道路の整備、鉄道との立体交差の整備、道路の老朽化対策等が必要とされております。また、昭和40年代以降、道路整備が促進されてきたとは言え、地域間を結ぶ幹線となるべき高規格幹線道路等は、なお計画の少なからぬ部分が未開通のままで残されており、道路整備を望む声は根強いものがあります。

勿論、無駄な道路計画の縮減や厳正なコスト管理等を行わなければならないことは言うまでもありませんが、特に幹線道路は連結してこそネットワークとして大きな機能が発揮されるのであり、その場合、当該地域のみならず、広く国全般にわたってのインフラ機能が効果的に発揮されることとなります。したがって、特に高規格幹線道路の計画区間については、可及的速やかに整備すべきです。

地域の努力不足や競争によって格差が生じることはやむを得ないとしても、せっかく潜在的な力も意欲も有しているにもかかわらず、道路が未整備であるためにそれが発揮できないとすれば、公平な公共投資配分とは言えず、地域間格差の是正に配慮すべき国の責任を全うしていないこととなり、国にとっても大きな損失となります。

道路は、そもそも公共財であり、その整備には一般の税財源を当てることが原則であるところ、特に早急な整備が必要なために、例外的に受益者負担主義を採用して特定財源に頼った経緯を忘れてはなりません。

本来、予算のシーリングがなければ余剰は発生しませんが、シーリングによる歳出の制限により余剰が発生するのであれば一般財源化することなく、特定財源はまずは真に必要な道路の整備に前倒しをしてでも充当するのが筋であります。

よって今後の政策運営に当たり、次の事項を強く提言いたします。

提言:真に必要な道路高規格幹線道路の計画区間
14,000kmの早期整備を最優先されたい

地域間格差の是正、地域活性化、わが国全体の成長力の強化のためには、道路は必要不可欠な社会インフラであり、特に結節されてはじめて機能を発揮する高規格幹線道路(14,000km)の整備を最優先していただきたい。また、真に必要な道路が未だ全国各地で整備されないままで多く残されていることから、道路整備を目的に集めた特定財源は、制度の趣旨に則り、暫定税率を維持したうえで、一般財源化することなく道路整備を進めていただきたい。その際には地域格差の是正や地方の自立、高次医療施設へのアクセス強化、渋滞対策などに適切に措置していただくよう強く提言いたします。

以上